2023年01月09日

感謝、そして一昇

こんにちは。
筑波大学女子サッカー部4年、谷井沙樹です。
もう、引退ブログを書く時期がきてしまったのかと思うと、色んなことがあったこの4年間が思い出され、とても感慨深いです。
この4年間の大学サッカー生活を無事終えることができ、自分に関わってくれた一人一人に感謝すると共に、素直に今の気持ちを綴ってみようと思います。

拙い文章ではありますが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。




「あなたはなぜ大学でサッカーをしていますか」




これは1年生の時に読んだ、ある先輩の引退ブログの中で出会ったものです。
私はこの4年間、何度もふとした時自分に問いかけてきました。
陳腐に聞こえるでしょうが、大学サッカーを選んだ人、とくに他学群の人は一度はぶつかってきた問いであろうと思います。

女サカはただ漠然と、サッカーが楽しいから、だけで続けられるような部活ではありませんでした。
楽しいこと、嬉しいこともたくさんあった分、苦しいこと、悔しいことは数え切れないほど経験しました。

そんな問いに対して、4年を経てたどり着いた自分なりの答えについて綴ろうと思います。


この問いには、
「なぜ、高校卒業後直ぐに中学高校の頃と同様にクラブチームには進まず、大学サッカーを選んだのか」という意味もあると思いますが、大学で運動をするつもりがなかった私にとっては、

①なぜ他のスポーツではなく、サッカーを選んだのか
②大学4年間もなぜサッカーを続けようと思ったのか

という意味を持ち、特に②については、学業とのとの両立や、他の活動に興味をもったときに、何度も自分に問いかけました。

4年を経てたどり着いた自分なりの思いを綴っていきたいと思います。



先ず、①なぜサッカーなのか。
テンプレな回答のようですが、何を並べても結局「楽しいから。」に辿り着きました。

もちろん、楽しいだけではなく、苦しいこと、悔しいことも数多く経験しましたが、大学サッカー生活を思い返せば嬉しいこと楽しいことばかり浮かんできます。

私が筑波大学を進学先に選んだのは、希望する学部の推薦入試の合格発表が全国の国立大学の中で1番最初であり、早く受験を終わらせたい思いが強かったためで、女子サッカーの強豪校として筑波大学を選んだ訳ではありませんでした。

大学に来てそもそもどの体育会部活にも所属すること自体全く考えていなかった私が、なぜ女サカに入部したのか。

それは、学生最後に、みんなで日本の頂点を見据えて上を目指して活動している女サカで私がどこまでできるか挑戦したい、その一員となってチームで上を目指したい、という気持ちをどうしても抑えることができなかったからです。
そして、初めてゾーンディフェンスという概念に触れた私は、まだ知らないサッカーの新たな面を見つけた気がして、ただただ面白そう、と思ったからです。

いま振り返ると、大学4年間で全く上には追いつけず、何度も自分の実力不足を痛感するばかりでした。
あんな大層な目標を決めたのに見合う努力をして来なかったかもしれません。
あの時ああしとけば、と後悔はいくらでも出てきます。

でも女サカにきて

サッカーがただの球蹴りではなくなりました。
サッカーってこんなに楽しいんだって。
サッカーの楽しさはどんなに辛くても、一度グランドに来てしまえば、こんな下手なのになぜこれほどまで楽しいのだろうか、と毎回の練習で思うくらい。

サッカーをしたからこそ出会えた仲間がいました。
小学生の頃のトレセンで一緒だった人がいまや日の丸を背負って戦っていたり、そんな人たちともう一度同じピッチに立ち戦えたり。

女サカにきて初めてサッカーの練習ではなく「勉強」という概念を知りました。


一個克服したらまた次、といつになっても上達できるこの楽しさは女サカでサッカーをしたからこそ知ることができたものでした。

サッカーを通じて入学当初は想像もできなかった学生生活を送ることができ、感謝の気持ちで一杯です。

女サカでのサッカーでなければならなかった理由はここに書き切ることはできません。




続いて次に、②なぜ4年間続けたか。
これはもちろん、周りのサポートが無ければ絶対になし得なかったことです。
明確にこれ、という答えを出すのは難しかったのですが、4年間頑張ったからこそ見れた景色があったのは確かでした。


学生生活最後の4年間は人生で一度きり。決して短くはありません。

また私は、一度決めたことを最後までやり抜くことが全てだとは思っていません。
途中で部活を辞めて他のことを頑張る選択肢もありました。

特に悩んだのが、学業との両立で、本当に苦労させられました。
テストもそうですが、実習にとられる時間も多く、どちらかを諦めた方がいいのではないのかと悩む日もありました。
実際、1年のインカレではテストのために1人途中で神戸からつくばへ往復したり、2年のインカレは神戸に行けずつくばから応援したり。

また、3年生の前半には、コロナで部活動に制限がかかる中、学業、部活以外にも興味のあることが出てきて、「リベラルアーツ教育を高校生に提供する」活動に取り組む事に決めました。
多くの人に協力してもらい女サカで選手を続けながら活動することができましたが、このときも時間の捻出が大変で、どれかを諦めなければならないのか、おおいに悩みました。

しかし、私は大学サッカーを4年間、周りのサポートがありやり切ることができました。
4年間サッカーをすることを選び続けたことに全く後悔がないどころか、本当にたくさんの人に支えられてその選択肢を常に選び続けることができたことに心の底から感謝しかありません。

サッカー以外の他の選択肢が頭の隅に常にあったからこそ、自らサッカーをすることを選んでいる、という意識で女サカで活動することができました。
辛い時も、自分が選んだ道だから、と目を背けずきちんと向き合えたのかもしれません。

そして、私の座右の銘が「やらない後悔より、やって後悔」のように、ここで逃げずに挑戦したからこそ自分ができることできないことついて知ることができました。

大学生活最後の4年目。
変化も多く、戸惑いながらも手取り足取り同期と、そしてチーム全体で協力して地道に積み上げていったシーズン。

「一昇」=チームで昇る、一歩一歩昇る、一人一人が昇る、をスローガンに掲げ、シーズンが開幕しましたが、最初は本当にうまくいかないことばかりでした。
どうして自分はこんなこともできないのだろうか、と悩む事ばかりでした。
何度も何度も同期と話し合いを重ねました。
関カレで全然勝てない状況で、上手な同期や後輩が試合で頑張っている中で試合に絡めていない私には何ができるだろうか。

今シーズンを振り返ってみたら、一から、チームで一つになって昇っていったシーズン、といった方が正しかったかもしれません。

ここから逃げたい理由はいくらでもありました。

でも4年間頑張ったからこそ見えた景色がありました。


サッカーがこんなに楽しいものなんだ、と気づかせてもらえたこと。

今までただ繋いでたパスが、戦術の一部となりゴールへの道筋への一部となったとき。
必死に繋いだボールが味方に渡りカウンターに打って出れたとき。
周りのポジションの人と協力して組んだゾーンディフェンスで、相手のボールを意図通りに奪えた時。
味方のパスの二手三手先の意図を理解できたとき。
きちんといいパスを出せた時のあの軸を捉えた音と達成感。でもまた油断したらすぐ元に戻ってしまうとき。

これらの楽しさ以上に、頭ではわかっていても思い通りにいかないもどかしさや、一度教えてもらったのにそれを実践できない自分への苛立ち、何度も同じミスを繰り返してしまうことに対する腹立たしさを何度経験したかは分かりません。
しかしこれらは、少なくともこの4年間の積み重ねがあったからこそ得ることができたサッカー観でした。


そしてみんなで本当に死闘を尽くして掴んだ勝利はこんなにも嬉しいということ。

今でも覚えているのが1年生の関カレ開幕戦、vs帝京平成大学。
思い返せば関カレのリーグの重み自体がよくわからないまま迎えた試合当日。
周りのみんなの助けがあり初めてスタメンで試合に出ることができましたが、5バックの左右にいたまほさんとめぐさんにはたくさん迷惑をかけながら私自身はとにかく必死でなんとか失点を防いで。
チーム全員での守備で失点を0に抑えて迎えた後半ラストにゆきなのゴール。
1-0でなんとか勝ったあの瞬間の鳥肌は今でも鮮明に覚えています。

そしてその勝利の喜びや、それと同時に負ける悔しさは、学年が上がり試合に絡める回数が減ってくる中で、試合をピッチから、ベンチから、スタンドから、どこから見ていてもどんどん大きくなっていくものでした。

4年間続けたからこそ見ることができた世界は、今の私を形作る経験、宝物です。
1年生の頃のスローガン「感謝」には、「未来の自分からも感謝される」という意味が込められていたそうです。
素敵ですよね、こんな考えもあるんだとはっとさせられました。
私は、女サカでのオンオフの活動を通じて未来の自分に感謝されるような貴重な経験をこの4年間で積むことができたと思います。




私はここでサッカーを引退しますが、本当にサッカーが楽しかったです。

そして同期をはじめとして先輩、後輩、スタッフさん、留年を何度も救ってくれた学類の友達、今までのサッカー人生を作ってくれた人たち、そしていつでも一番のサポーターであり続けてくれた家族には感謝してもしきれません。
本当にありがとうございました。


稚拙な文章で恐縮ですが、貴重なお時間を割いて最後まで読んでいただきありがとうございました。
後輩をはじめ、これを読んだ人が今後壁に当たった際に少しでも有意義な時間を過ごせる一助になれば幸いです。


#4 谷井沙樹

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Posted by 筑波大学女子サッカー部 at 09:54│Comments(0)2022引退ブログ2022
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