2023年01月08日

懸ける想いがあるから

こんにちは。清村珠幸(#1)です。
最初で最後の引退ブログ、国語が苦手な上に、右手がギプスのため左手だけで執筆したら、とんでもなく時間がかかってしまいました。
なんだかまとまりのない、とても長い文章になってしまいましたが、数日間かけて頑張って書きましたので、お時間があるときにご一読いただけたら嬉しいです。


私はトップチームor大学サッカーの究極の2択から、大学進学を選び、筑波大学に決めたとき、当時関カレ2部,関東リーグ2部の立ち位置という中で「筑波大学でインカレ優勝する」と公言してきました。

周囲の反応は、遠回しの否定ムード。
それは、あの日と同じ感覚。
浦和レッズレディースJr.ユースからユースに昇格できず、途中加入という形でジェフユナイテッド市原・千葉レディースU-18に入団した私は、新加入選手挨拶にて、まだ出会って間もないチームメイトと保護者、スタッフの前で決意表明として「全国優勝します」と言いました。
ざわざわした後に拍手と笑いが入り混じり、独特の雰囲気でした。
高2でジェフレディースファミリー初の全国優勝を決めたときは、人生一最高の瞬間でした。

1・2年生の頃は、とにかく自分の力で筑波を勝たせることに必死でした。

入部当初は、今までとのギャップが大きくて私はパニック状態でした。本当に大学サッカーを選択してよかったのか不安になりました。でも、まこさん・れみなさんがたくさん話しを聞いてくださって、たくさん助けてくださりました。
同じインカレ優勝の目標を持つ仲間が側にいたことは、本当に心強かったです。

1年生。4月末の試合で相手の膝が私の頭部に入ってから、上半身を激しい痛みに襲われました。のちに頚椎C4C5の骨がズレていることが判明しましたが、当時は原因が分からず1日10錠服薬して、ただ耐える日々が続き、心身共に疲れ切っていた中、8月末の関カレ開幕戦では相手に突っ込まれ右膝の後十字靭帯が切れました。

自由が効かない身体の痛みと絶望と苛立ちで、サッカーが苦痛に感じるほどに、追い込まれていました。

そんなとき、当時監督だった平嶋さんに呼ばれ、
「みさきは試合に出るんだから、弱さを見せたらダメだよ。みんなが心配するから。俺はみさきを使いたいんだから。もっと俺や有紗(トレーナー)だったり、スタッフを頼っていいから。」
と言われました。他にもたくさん話をしました。
こんなに真っ直ぐに話してくれた監督は初めてでした。
完璧ではなくていい、今できることをやればいい。
ひとつひとつの言葉がスッと自分に入ってきました。
この日、平嶋さんについていこう。筑波に全身全霊をかけようと決めました。


2年生。8月末の関カレ開幕戦で格上の東洋大学に勝利し最高のスタートダッシュを切れたと思った矢先、練習で接触して右膝の半月板を損傷。主治医に、手術はインカレ後に延期したいとお願いしましたが、最悪歩けなくなると言われ、最終的には手術3日前まで試合に出場する許可をもらい、開幕から5戦4勝1分の歴史的成績でインカレ出場をほぼ確実に決め、10月中旬に手術を迎えました。珍しい症例で朝から夜までかかり、術前は復帰まで1年以上と言われていましたが、術後はトップレベルでサッカーはできないかもしれないと言われました。
この選択に悔いはありませんでしたが、枯れるほど泣きました。


3年生。奇跡的な回復により、復帰予定が立てられた5月頃。右膝に不安な痛みを感じ、病院で検査すると結果は半月板損傷。しかも手術とは違う箇所。あと3ヶ月は絶対に復帰できないと言われました。
誰とも話さず黙々とリハビリをして、ただひたすらに自分を追い込みながらも、プレーで貢献できない自分の存在価値を見失っていた中だったので、「『努力は裏切らない』なんて嘘だ。」って今までの日々は何だったのか分からなくなりました。
でも、頑張っても復帰できないとなったとき、張り詰めていたものがなくなりました。
それ以降、リハビリ中もできる限りみんなの練習を見て、声をかけるようにしました。同じくリハビリをしている部員とも話すようになりました。

真っ暗闇だったからこそ、大切なことに気がつけました。

「私は一人で戦っているのではない。みんなで戦うんだ。」

結果的には10ヶ月半で復帰することができて、キックの制限付きではありましたが、8年ぶり2回目の西が丘の地にてインカレ第3位で2021シーズンを終え、1週間後に半月板の手術を受けました。入院中、何百回とマカロニえんぴつの"ハッピーエンドへの期待は"を聴きました。


4年生。平嶋さんが静岡大学に移動になり、本当の意味で学生主体のチームになりました。
春の合宿で、スタッフさんが決める今日のテーマ"トライ!"に対して、酷い内容の試合が続きました。ミーティングで聞くとトライした人は数人。『なぜ何度言われてもトライができないのか。サッカーできるだけで幸せなのに。』と思いつつも、ただビデオを撮り試合をしているみんなに外から声をかけるだけで、私の代わりにGKをしてくれているFPの選手への申し訳なさと現状を変えられない自分がとても惨めに見えてきて、試合を終えたみんなが着替えている部屋の硬い床で、試合中に終えられなかったリハビリのTABATAをしていたら、なんだか涙が出てきました。
開幕からも公式戦10連敗と勝てない日々が続きました。負けても笑っている選手に対して、リハビリの私にこれ以上やれることがどうしても分かりませんでした。
5月には教育実習が始まり、都内の高校とつくばの部活動と実家を行き来しました。これが最短で復帰する方法だったので、睡眠時間はほぼありませんでしたが、教育実習を終えた1週間後、予定より1ヶ月以上早い術後5ヶ月間で復帰戦に出ました。復帰の喜びよりも重圧に押し潰されそうな中で、結局早稲田に0-3とボコボコにされましたが、いろいろな人に「やっぱり珠幸は違う」と言ってもらえたときは、本当に救われました。
9月の皇后杯関東予選では、今まで迷いながらも進んでいたチームが、やっと今年の筑波の形を見つけられた気がしました。それから、みんなのベクトルも揃い始め、練習や試合の雰囲気も変わり、チームも勢いに乗りつつありましたが、遅すぎました。結果は1年間の積み重ねであって、始動の時から取り組んでいたチームには勝てないことを痛感しました。
そして、インカレ出場はできず、皇后杯本戦2回戦で高校生に負けて大学サッカーを終えました。
人は不思議なもので、後悔が多すぎると涙を流せないみたいです。
もっとやれることがあったのではないかと思うし、涙を流していいほど、「私は頑張りました。」と言い切れない。
そんな人生一後悔をした1年間でした。


この4年間の主な成績は、
2019年 5年ぶりのインカレ出場
2020年 初の関カレ1部準優勝、4年ぶりの皇后杯本戦出場
2021年 インカレ第3位、初の皇后杯本戦1回戦突破
2022年 初のなでしこリーグ1部チーム撃破

個人としても、関カレ1部ベストイレブンという素晴らしい賞を受賞することでき、リハビリ中で帯同はできなかったものの選抜にも何度か招集していただきました。

筑波では、サッカー選手としても、人としても、
とても濃い4年間を過ごさせていただきました。

まさか大学で3度も大きな手術をするとは思いもしませんでしたが、サッカーができなかった、あの暗闇を過ごした時間は無駄ではなかったと思います。サッカーができなくなる度に、サッカーがない人生は考えられないと再確認しました。
嬉しいことに「もっと自分の将来を大切にして。」と言ってくれる人がたくさんいます。
私も自分が目指している世界は、生半可な覚悟では戦えないことは分かっているつもりです。
しかし、4年生の8月に手首を骨折し、先月手術をしましたが、シーズン中に休む選択肢は全くありませんでした。
リスクを犯してでも、どうしてもインカレ優勝したかったです。私にとって、筑波はそんなチームでした。

筑波大学女子サッカー部は、
サッカーをするすべての女の子に夢を与えられる存在であると思っています。

大学女子サッカー強豪校では、名門高校・クラブから選手を獲得することが一般的ですが、国公立である筑波大学はサッカー推薦の部員が各学年1〜2人。
あの劇的勝利の立役者は、女子サッカー界で無名だった選手。
すべての女の子が、全国大会優勝という夢に挑戦できるような、もう一度夢を追えるような、そんな存在だからこそ、不甲斐ない試合を見せるわけにはいかないし、絶対に関カレ1部から降格してはいけません。
私たちのサッカーで夢を与え、それを見た小中高生が筑波大学を目指し、今度は夢を与える側になる。
それが永遠に回っていくような唯一無二の魅力あるチームとして輝いていってほしいです。


小さい頃からの夢を、何度挫折しそうになりながらも今も追い続けられているのは、
筑波大学女子サッカー部のスタッフ、選手、平嶋さん。
筑波学園病院の御園生先生をはじめ、医師、看護師、理学療法士の皆さん。
サッカーで出会ったたくさんの方々。ファン・サポーターの皆様。そして家族が、背中を押し続けてくれたからです。
本当に本当にありがとうございました。
大好きなサッカーで、今度は私がみんなに力を与えられる人になりたいと思います。

また、どんなに結果が出なくても、筑波を応援してくださった皆様、ありがとうございました。
あれだけ言っておいて、インカレ優勝の目標を達成できず、本当に申し訳なく思っています。
インカレ優勝の目標は、後輩たちに託します。
これからも筑波大学女子サッカー部の応援をよろしくお願いいたします。


大学サッカーを、筑波大学を選んでよかったです。


#1 清村珠幸

懸ける想いがあるから


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Posted by 筑波大学女子サッカー部 at 15:57│Comments(0)2022引退ブログ2022
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